VOL7.「バーテンダー」
学生時代は、丸4年間、バイトでバーテンダーをやっていた。
カウンター席が10席、テーブル席は15席、
合わせても25席程度の小さなショットバー。
店員は、マスターともう1人のスタッフと、そして、私。
総勢わずか3人の小さなショットバー。
マスターはほとんど厨房で料理を作っていたので、
カウンター等での接客は私たち2人に委ねられていた。
有名な店でもなく、大手のチェーン店でもなかったので、
一般のお客様がフリーで気軽に入れる店ではなかった。
もっぱら顔馴染みの常連客がほとんど。
20代後半から40代前半のビジネスマン・OLが来てくれていた。
中小企業の社長や個人事業主、一匹狼的な商売人の方も多かった。
当時、私が顔と名前を一致させていたお客様は、500人程度だったと思う。
一生懸命、顧客名簿を付けていたものだった。
常連のお客様が来たら、カウンター席に座ると同時に、
「いつものモノで宜しいですよね?」と言って、
そのお客様がキープしているボトルを取り出して、すでに水割りを作っていたほど、
お客様との距離はかなり近かった。
職場での仕事の話、投資やM&Aの話、株の話、営業・マーケティングの話、・・・・・、
学生の頃からビジネスの話に顔を突っ込んでいた。
カウンター越しに交わされる生々しいビジネスの話は、
学生の私にとってすごく刺激的なものでもあった。
楽しかった。
また、学生の分際で、お客様が主催した合コン?にも、顔を出していた。
今思っても、相当、生意気な学生であった。
私がその店を辞める時には、常連のお客様に「お別れ会?」を開いてもらった。
これは本当に嬉しかった。
私が、工学部原子核工学科を卒業しておきながら、
現在の経営コンサルティングの世界に飛び込んだのは、
このような体験をしていたから。
学生の頃からすでに生々しい経営やらマーケティングやらの話を聞き、
ビジネスの第一線で活躍している経営者等との出会いがあったから。
いやはや“環境”とは恐ろしいものだ。
教育するには、“環境”をいかに作るか・・・・・?
直接的に、「ああだ!こうだ!」と押し付けて詰め込むよりは、
“環境”を与えて自らに考えさせた方が、
圧倒的に、その人の実に成るようである。
「教育とは“環境作り”」と言えそうだ。