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2015年7月26日

VOL.468「バイオマス発電の現状」

今回はFIT(再生エネ固定価格買取制度)認定の
バイオマス発電の現状について取り上げよう。

バイオマス発電はその発電原料が何かによって
以下のように大きく5つに分かれる。
「メタン発酵」
「未利用木質(間伐材等)」
「一般木質・農作物残さ」
「建設廃材」
「一般廃棄物」

現在の買取価格は以下の通りである。
「メタン発酵」:39円
「未利用木質(間伐材等)」
      2メガ未満:40円
      2メガ以上:32円    
「一般木質・農作物残さ」:24円
「建設廃材」:13円
「一般廃棄物」:17円

4月時点での
それぞれの認定件数と認定容量、及び、
1件当たり容量は以下となっている。

「メタン発酵」:
 111件、35メガワット、0.3メガワット/件
「未利用木質(間伐材等)」:
 51件、369メガワット、7.2メガワット/件
「一般木質・農作物残さ」:
 50件、1371メガワット、27メガワット/件
「建設廃材」:
 4件、11メガワット、2.8メガワット/件
「一般廃棄物」:
 68件、297メガワット、4.4メガワット/件

合計:284件、2084メガワット、3.8メガワット/件

これらを要約すると以下のことが言える。

1.認定件数ではバイオマス全体のうち、
  「メタン発酵」が約40%を占める
2.認定容量では「一般木質・農作物残さ」が66%占める
3.「メタン発酵」は小型が多く0.3メガが平均
4.「一般木質・農作物残さ」は大型が多く27メガが平均
5.「未利用木質(間伐材等)」「建設廃材」「一般廃棄物」は
  3〜7メガが平均

また、上記には示されていないが、都道府県別に見た場合に
件数の多い都道府県は以下である。

1.北海道:62件
2.栃木県:13件
3.兵庫県:11件
4.大阪府:11件
5.茨城県:10件
6.福岡県:10件


ところで、
太陽光の買取価格がドンドン下がっていく中で
これらバイオマスと小水力が注目されている。

ただし、バイオマスの場合、圧倒的に原料不足。
メタン発酵用の家畜糞尿や木質バイオマス用の間伐材、
木質系廃棄物等の原料が圧倒的に不足しており、
“完全な奪い合い”である。
FIT認定されたとしても
原料調達・確保が本当に出来るのかどうか
読めていない物件も少なくない。
つまり、認定通りの発電量が
実行できない物件が少なくないのである。

仮に調達・確保が出来たとしても
当初計画通りの調達コストで出来るのかどうかも
不安視されている物件もある。

今後、バイオマスマーケットが広がるには
より小さな発電量(より少ない原料)でも
成り立つようなモデルが必要だ。


2015年7月21日

VOL.467「電力自由化後はどうなったか?ドイツの事例に学ぶ」

来年4月から電力の完全自由化が始まる。

そこで、今回は
電力自由化先進国ドイツの事例を少し紹介しよう。

ドイツでは1998年に
電力とガスが同時に自由化された。
それまでは日本と同じように
8社の電力会社に固定されていたが、
この自由化によって小売分野を中心に
100社超の新規事業者が参入した。
その後数年間は電力単価競争が激しくなり、
自由化後の電力単価は
自由化前の70%程度になった。

その競争と共に
従来の電力会社8社の統廃合が進み、
更に新規参入事業者も淘汰が進んだ。
結果として、
統廃合後の大手電力会社4社が寡占化して、
その4社で約70%のシェアを占めるようになった。

1998年以降安くなった電力単価だったが、
大手電力会社の寡占化が進むにつれて
逆に電力単価が上がっていった。
そして、2001年頃に底を打った単価が
2005年には自由化前の単価に戻り、
2011年には自由化前の1.5倍程度になった。
今もその単価は維持されている。
これは、太陽光や風力等の再生可能エネルギーを
推進したことによる価格転嫁の影響も大きい。

いずれにせよ、ドイツの場合、
電力自由化によって電力単価は一時期下がったが、
なんと、結局は高くなったのである。

ところで、
ドイツの電力マーケットを語る上で
言及しなければいけない存在がある。
それは「シュタットベルケ」である。

「シュタットベルケ」とは
「地方都市エネルギー公益企業」のことである。
電力・ガス、更には熱供給や水道も提供し、
交通インフラ等まで持つところもある。
この「シュタットベルケ」がドイツには900社もあり、
電力シェアの20%は占めている。
エネルギーの地産地消を目指したもので
地元自治体を巻き込んだ地域密着型企業と言える。

実は、この「シュタットベルケ」、
電力単価が安いかと言うとそうでもない。
むしろ大手の電力会社よりも高いところもある。
地元の消費者は大手よりも価格が高くても
「シュタットベルケ」を選ぶケースがあるようだ。

高くても選ぶのはなぜか???

それは、「ブランド」だ。
「地産地消」のブランド。
「地元のエネルギーは地元から買う」という意識。

食品等の商品とは違い電力に品質の差はないはずだ。
(実際は品質の差はあるが・・・)

でも、なぜ、「地元のエネルギーは地元から買う」
という意識=「ブランド」が芽生えるのであろうか?

それは、「教育」の賜物だ。
例えば、自治体が学校教育により
そのような意識を植え付けている。
そして、「シュタットゲルト」自身も
地元密着の公的サービスとして、
例えば、文化・スポーツ・子供・若者教育等、
地元貢献として年間1億円レベルで投資している企業もある。

その結果、
「地元の電気を使わないと、恥ずかしい・・・」
そういうブランドが作られているところもある。

電気代が高くても「地元の電気」を買う・・・

ある意味、これは革命的ではないか。

電力ビジネスでも
「教育」「ブランド作り」「啓発活動」・・・
というのはとても大事な側面である。

2015年7月12日

VOL.466「ギリシャ、ユーロ離脱がない理由」

前回に引き続き、ギリシャ問題。
結論から言えば、
ギリシャのユーロ離脱はない!
と私は見ている。
最大の債権国のドイツにとって
ユーロを今のスキームで維持した方が
実利を取れるからである。

以下のデータを見て欲しい。

1990年:474
1991年:−246
1992年:−234
1993年:−198
1994年:−313
1995年:−300
1996年:−169
1997年:−113
1998年:−159
1999年:−312
2000年:−341
2001年:−70
2002年:393
2003年:359
2004年:1269
2005年:1338
2006年:1734
2007年:2373
2008年:2176
2009年:1994
2010年:1946
2011年:2281
2012年:2523
2013年:2513
2014年:2876
(単位:億ドル)
※出展http://www.imf.org/external/ns/cs.aspx?id=28

これらのデータはドイツの経済収支である。
一目して分かることは
2001年までのドイツと2002年以降のドイツが
全く異なる経済収支状況なことだ。

その2002年とはどんな年だったか言うと、
「ユーロ誕生の年」だった。

ちなみに、ここで定義されている経済収支とは
「経常収支」=
「貿易収支+サービス収支+第一次所得収支+第二次所得収支」
である。
この「経済収支」のうち「貿易収支」が
約90%占めると思ってもらって良い。
例えば、2014年の場合、
「経済収支」の91.5%が「貿易収支」だった。

つまり、ドイツの場合、
ユーロ誕生によって貿易収支が改善して、
その結果、国全体の経常収支も改善したのである。

まさに、ユーロの恩恵である。

なぜ、ドイツがユーロ導入によって恩恵を受けるかは
前回分のブログを参照して欲しい。
http://www.eco-webnet.com/kikuchi/2015/07/post_585.html

今、為替が1ドル121円とすると、
2014年ドイツの経済収支は2876億ドルで、
日本円で35兆円に達する。
このうち、貿易収支は30兆円を超える。

改めて上表を見ると、
2007年以降は毎年約30兆円の貿易黒字を
続けていることが分かる。
ユーロの恩恵である。

もちろん、ドイツの各企業の優秀さもあるので、
ユーロ導入だけの恩恵ではないが、
ユーロ導入のメリットは計り知れない。

一方、ギリシャの債務は43兆円。

極論であるが、
ギリシャが離脱してユーロの仕組みが崩壊して
貿易(為替)メリットなくなるよりは、
債務分の40兆円くらいは面倒見た方が良い。
それくらいドイツのメリットがあるだろう。

「勤勉なドイツ国民Vs怠惰なギリシャ国民」
という思いがあって
「ギリシャを助けるのは怪しからん!」
というドイツの国民感情は無視してでも、

客観的に見れば、
ユーロを維持させるメリットがドイツにはありそうだ。

と言うか、こういう弱小国がユーロの仲間だから、
ドイツのメリットが大きいのである。

なので、“常識的に考えれば”
ギリシャのユーロ離脱はない、
と言うか、
ドイツが離脱させない、と思う。

※本ブログを読んで頂いている方々、
皆様はいかに感じられるでしょうか?


2015年7月 5日

VOL.465「ギリシャ国民投票」

既報の通り、
ギリシャの国民投票結果は「NO」と出たようだ。

そこで改めて、ギリシャ問題を整理してみよう。
まずは、基本データ。
・人口:1081万人
・GDP:約25兆円
・債務:約43兆円(GDP比:173%)⇒債務大!
・公務員人口:労働人口の25%⇒公務員多!
・年金支給年齢:55歳⇒支給年齢若!
・年金支給額:収入とほぼ同額 ⇒支給額大!
・失業率:20%以上
・若者失業率:50%超⇒失業率高!

その他、ギリシャの主な特徴は以下。
・公務員の出勤は朝7時、14時には帰宅
・昼寝と食事と酒を楽しむ優雅な生活
・奴隷制度の名残りで「労働は苦役」という価値観
・脱税が横行、徴税に失敗
・財政を粉飾報告してEUに加盟
  債務対GDP:基準値60%⇒ギリシャ110%超
  財政赤字対GDP:基準値3%⇒ギリシャ10%超

確かに、このような状況だと
国としての経済的な発展はないだろう。
ギリシャという国に根本的な課題があるようだ。

一方で、ユーロ圏という組織にも本質的に問題点がある。
通常、通貨が異なる国の貿易の場合、
貿易黒字ならばその国の通貨高になり、
貿易赤字ならば通貨安になる。
なので、貿易赤字が拡大すれば
通貨安になって輸入価格は上がり、輸入は減る。
貿易黒字が拡大すれば、
通貨高になり輸入価格は下がり、輸入は増える。
このように、
自国の通貨が他国と比べて上下することで、
自浄効果も出て輸入の増減が図られる。
ギリシャ独自の通貨「ドラクマ」の時代には、
通貨危機の度にドラクマが下落した。
下落すれば、輸入も減り消費も減る。
下落した後、対外借金を棒引きにすることで、
これまでのギリシャ経済はなんとかやってこれた。

それに対して、
ユーロ圏を導入したことで域内の為替相場は変動しない。
域内の貿易による関税がかけにくいこともあって
ギリシャは輸入が減りにくくなった。
例えば、ギリシャでは
メルセデス・BMW等のドイツ車が買いやすくなり、
シーメンス・ミレ・ボッシュ等の
ドイツ製家電製品も買いやすくなった。

ドイツにとって、
(ギリシャに限らず)南欧諸国は最高の顧客。
そういう意味では、技術国ドイツは
ユーロというシステムから多大なメリットが得れる。
ちなみに、ドイツは多額の経常収支黒字を続けているので、
もしユーロが無ければ
ドイツ通貨は周辺諸国通貨に対して切り上がるが、
そうではないので
ドイツは好調な経済状況が維持出来ている。

それどころか、
ギリシャ危機によってユーロ安が進行している為、
ドイツ製品が日本製品などに比べて
世界中で価格競争力は増している。
確かにユーロ内の南欧国等を支援するコストは掛かるが、
そういう国々と共にしているメリットが充分にあるのである。
なので、ドイツにとってはユーロはとても「割安」。
ギリシャでは相当な「割高」。

もし、ギリシャ、そして、スペインやイタリア等が抜ければ、
長期的にはユーロは確実に高くなる。
輸出競争力はなくなる。
ドイツはこれまでのように「独り勝ち」できなくなるので、
あまり望ましいことではないだろう。
ドイツの国民感情から見れば、
ギリシャへの財政支援をしなくてよくなるので、
ギリシャのユーロ離脱には好意的だと思うが、
本当の“実利”は失ってしまう。
“実利”の為には離脱させたくないだろう。

それと、ロシアの存在。
ロシアはギリシャを取り込もうと必死だ。
ヨーロッパの対ロ経済制裁を強くさせない為にも
ギリシャに接近している。
対ロ制裁ではEU加盟国全員の賛成が必要で
ギリシャに反対させようとしている。
それと、ロシアはカスピ海周辺の原油と
天然ガスをヨーロッパに送る為に
トルコ・ギリシャ経由のパイプラインを
建設する準備をしている。
ロシアの思惑としては
ギリシャをEU枠内に留めておきたいようだ。

チプラス首相がコロコロ態度を変えるので
関係国は翻弄されている・・・
と報道されているが、
ロシアからの“知恵”が注入されているのだろう。

もちろん、ギリシャは債務などは返済せずに、
ユーロ離脱せずに債務を踏み倒せるまで踏み倒す戦略だ。

以上を考えると、
ギリシャのユーロ離脱はないように思えるのである。

本ブログを読んで頂いている皆さんは
いかに思われているのだろうか?





■菊池 功プロフィール

          菊池 功        環境ビジネス
コンサルティングを
ゼロから立ち上げた男!



株式会社船井総合研究所
執行役員
環境ビジネスコンサルティンググループ 部長
菊池 功(きくち いさお)

■株式会社船井総合研究所
 TEL:03-6212-2934
 FAX:03-6212-2943
 Mail:eco-webnet@eco-webnet.com



<出版書籍>
2011年12月16日発売!
『中小企業は「省エネ・節電ビジネス」で儲けなさい!』
中小企業は「環境ビジネス」で儲けなさい!

『50兆円市場を狙え! 新規事業は「環境ビジネス」で仕掛けなさい!』
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●船井総合研究所
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